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2012/02/28

最悪のシナリオ 枝野元官房長官=連鎖的に東海原発までも制御不能になることを想定、「悪魔の連鎖になる」

福島第1原発事故民間調査委報告書
 首都圏3,000万人避難対象との最悪のシナリオ明らかに






福島第1原発事故を独自に調査している民間の事故調査委員会が、報告書をまとめた。首都圏を含む3,000万人が避難の対象になるという、想定されていた最悪のシナリオが明らかになった。

民間の原発事故調査委員会は、28日午後3時すぎの会見で、「首都圏を含む3,000万人が避難せざるを得なかったかもしれないという最悪のシナリオが書かれていた」と語った。

民間の原発事故調査委員会の報告書で明らかになったのは、原発事故最悪のシナリオだった。
原子炉への注水ができなくなるなど、不測の事態で複数の建屋から大量の放射性物質が噴き出した場合、近隣住民の強制退避の範囲は半径170km圏内。

さらに任意の退避は半径250kmに及び、東京23区など首都圏を含む3,000万人もの住民が避難対象となる可能性があると想定していた。

しかし、この想定は、当時、政府中枢の一部のみが知っていただけで、不安をあおるという理由から、公表は見送られたという。

放射能を恐れ、都心を離れる人も出るなど、情報が錯綜(さくそう)する中、政府が想定していた最悪のシナリオ。

当時、官房長官だった枝野経産相も、連鎖的に東海原発までも制御不能になることを想定し、「悪魔の連鎖になる」と、その当時の恐怖感を調査委員会に証言している。
枝野経産相は28日朝、「強い危機感を持ちながら仕事をしていたという、当時の私の心情をお話ししたものであります」と述べた。

さらに、当時、原発を所管する経産相だった海江田氏は、「(東京も避難しなければならない)本当に首都の機能が失われるわけですから、深刻なことになるという恐れが、頭をよぎったことは事実です」と述べた。

また調査委員会は、会見で「菅政権の危機に対する取り組み方は、全体からすれば不合格」としている。

また、今回のこの報告書で、やり玉にあがった1つが「SPEEDI」。
SPEEDIというのは、放射性物質がどのように広がるかを予測するものだが、このSPEEDIについて官邸が全く知らなかったということに触れて、結局、SPEEDIというのは、住民たちの安全を買う「見せ玉」でしかなかったと批判している。

実際、福島・浪江町の住民およそ8,000人は、地震後、山側に逃げたほうが安全・安心だというふうに信じて、津島という地区に逃げた。

しかし、SPEEDIで試算すると、結局、自分たちが安全だと思って逃げた地域が、放射線量が高い地域だった。

ここに4日間、避難してしまったという事実がある。

SPEEDIさえちゃんと発表されていれば、知らせていれば別の避難所を探せたという声も上がっている。
(02/28 18:37)









“東京でも避難必要”の危機感も
2月27日 19時1分
東京電力福島第一原子力発電所の事故の検証を進めてきた民間の事故調査委員会が、28日、報告書を公表します。
この中では、政府内部で事故直後から被害拡大への危機感が強まり、当時の枝野官房長官も「東京でも避難が必要になる『悪魔の連鎖』が起きるおそれがあると思った。そうならないよう押さえ込まなければいけないと考えていた」と心境を明かしていることが分かりました。

エネルギー問題の専門家や元検事総長ら6人の有識者が委員を務め、国から独立した立場で原発事故の調査を進めていた民間事故調=「福島原発事故独立検証委員会」は、去年の9月から半年間にわたって日米の政府関係者らおよそ300人に聞き取りなどを行ってきました。

28日に公表される報告書によりますと、事故の3日後の去年3月14日には、福島第一原発の当時の吉田昌郎所長から「炉心の溶融が進み、燃料が溶け落ちる可能性が高まった」との情報が当時の細野総理大臣補佐官に伝えられ、官邸や専門家の間に強い危機感が広がったということです。

福島第一原発では、3月14日から15日にかけて2号機の核燃料が冷却水から露出して破損し、圧力抑制室から大量の放射性物質が外部に放出されたとみられています。

当時、官房長官として政府のスポークスマンを務めた枝野経済産業大臣は、このころを振り返り「核燃料が露出する状態が続けば、多くの放射性物質が漏れて作業員が立ち入れなくなる。近くの福島第二原発など、ほかの原発にも影響が広がって最終的には東京でも避難が必要になるという『悪魔の連鎖』が起きるおそれがあると思った。そうならないよう事故を押さえ込まなければいけないと考えていた」と心境を明かしていることが分かりました。

そのうえで、「こうしたシナリオは官邸で共有されていた」と述べているということです。
官邸が描いていた最悪のシナリオが当時、表に出ることはありませんでした。

政府の情報発信について民間事故調は報告書の中で、「迅速な情報開示と、正確性の確保という2つの要請のせめぎ合いの中で試行錯誤していた様子がうかがえる」と分析し、今後、議論を進める必要があると指摘しています。

 http://www3.nhk.or.jp/news/html/20120227/k10013322662000.html













政府、原発の「最悪シナリオ」想定していた=民間報告書
2012年 2月 28日 15:48 JST
【東京】福島第1原発事故を調査してきた民間の「福島原発事故独立検証委員会(民間事故調)」は、政府首脳陣が首都圏から3000万人が避難するといった「最悪シナリオ」を示された際の懸念と緊迫を浮き彫りにした。

 内閣府の近藤駿介原子力委員長が3月終盤に作成し、菅直人首相(当時)に提示したこのシナリオは、使用済み核燃料プールの崩壊を想定している。現実になっていれば、コンクリートの基盤に連鎖反応を引き起こし、大量の放射性物質が放出。その結果、首都圏を含む原発250キロ圏の住民が避難を余儀なくされていただろう。

 このシナリオは、船橋洋一理事長(元朝日新聞社主筆)率いる財団、日本再建イニシアティブが28日に発表した報告書に記載されている。

 民間事故調の委員長で科学技術振興機構の前理事長である北澤宏一氏は、事故調が菅前首相や閣僚をはじめとする政府高官など約300人に対して行った聞き取り調査の結果、これまで国民にはっきり知らされていなかった事故の詳細がわかったと述べた。

 たとえば枝野幸男経済産業相は、政府首脳陣が近藤氏の報告書の作成前から「最悪シナリオ」を懸念していたと語った。この言葉は、地震と津波による事故が悪化しメルトダウンの恐怖が高まっていた3月14、15日に、頻繁に政府幹部の口にのぼったという。

 民間事故調は枝野氏の発言として、「1(福島第1原発)がダメになれば2(福島第2原発)もダメになる。2もダメになったら今度は東海もダメになる、という悪魔の連鎖になる」と書いている。同氏は「そんなことになったら常識的に考えて東京までだめでしょう」と思っていたという。

 こうした懸念のなか菅氏は、福島第1原発に関する最悪のシナリオと、住民の安全を確保するために必要な措置を報告書にまとめるよう近藤氏に指示した。菅氏に提出されたのは3月25日。政府首脳陣と当局者の懸念をおおむね確認する内容だった。

 近藤氏は同報告書で、福島第1原発最大のリスクは4号機の使用済み核燃料プールだと結論づけている。4号機建屋の上にあるプールは、水素爆発により屋根が吹き飛ばされたことから野ざらし状態だった。米政府の原子力専門家も、プール内の燃料が露出し、急速に過熱するとの懸念を抱いていたが、航空写真でプールに水があることがわかり懸念は和らいでいた。しかし、近藤氏は3月終盤時点でなお、新たな水素爆発など追加的な事象でプールの底が崩壊し、燃料が危険にさらされることを恐れていた。

 北澤氏は、「情報隠蔽(いんぺい)、すなわち『国民がパニックに陥らないように』との配慮に従って行政の各階層が情報を伝えないという情報操作」があったこともわかったとしている。科学者、医師、弁護士、ジャーナリストなど30名以上からなる民間事故調は、政府の調査委が見逃したり避けたりした恐れのある事故の側面を調べる使命を帯びていた。

記者: Yuka Hayashi

 http://jp.wsj.com/Japan/Politics/node_400055