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2011/12/29

DNA型解析から、犯人が日本人や韓国人、中国人を含めたアジア系を父系に持ち、地中海周辺の南欧系を母系に持つ人物であるという分析も出ている

トレーナーに蛍光染料「あらゆる可能性視野に捜査」世田谷一家殺害事件
2011.12.29 02:01





 世田谷一家4人殺害事件は今月30日で発生から11年を迎える。現場には犯人の指紋や血液だけでなく、凶器の包丁や犯人のトレーナーなど数多くの遺留品があり、警視庁成城署捜査本部が捜査を続けてきたが、具体的な犯人像はいまだ絞り切れていない。

 平成12年12月30日、宮沢みきおさんと、妻の泰子さん(41)、長女のにいなちゃん(8)、長男の礼君(6)=いずれも当時=は、自宅で包丁で刺されるなどして殺害された。

 現場に残っていたトレーナーとヒップバッグには、ペンキやインクの材料になる蛍光染料が付着しており、トレーナーは「ラグランシャツ」と呼ばれる種類と判明した。

 トレーナーは全国14都道府県で130着が販売され、約4割は静岡県内の販売と分かったが結局、購入者が判明したのは12着だった。販売元は21年10月に解散。全店舗がすでに閉鎖され、購入者からの犯人絞り込みは困難となった。

 一方で、現場の足跡から、犯人の履いていた靴が日本国内で販売されていない韓国製だったことも判明。さらに現場では、米国の砂漠のものと酷似した砂も見つかった。

 血液などのDNA型解析から、犯人が日本人や韓国人、中国人を含めたアジア系を父系に持ち、地中海周辺の南欧系を母系に持つ人物であるという分析も出ている。「決してあきらめない。あらゆる可能性を視野に徹底的に捜査を進める」。捜査幹部はこう話す。






トレーナー染料、直前に付着か=付いた後に洗濯の形跡なし-世田谷一家殺害11年
 東京都世田谷区で2000年12月、会社員宮沢みきおさん=当時(44)=一家4人が殺害された事件で、染料が検出された犯人の遺留品のトレーナーは複数回洗濯されていたが、染料が付着した後には洗った形跡がなかったことが29日、捜査関係者への取材で分かった。
 犯人は事件直前に染料を扱ったとみられ、警視庁成城署捜査本部は、仕事や趣味などで染料を使う人間が関与した疑いもあるとみて調べている。事件は30日で発生から11年を迎える。
 遺留トレーナーは00年8~12月に販売され、複数回洗濯されて着古されており、胸付近に微量の染料2種類が付着していた。
 捜査関係者によると、検出された染料は水に溶けるとピンク色に発色して繊維などを染色する性質がある。付着は肉眼では確認できず、特殊なライトで照らして判明した。溶けた形跡がなかったことから、染料が付着した後に洗濯した可能性は低いという。(2011/12/29-17:25)

http://www.jiji.com/jc/c?g=soc_30&k=2011122900863





スリッパに犯人DNA型 事件前、被害者と接触か 世田谷一家殺害11年
2011.12.29 02:01
 平成12年12月、東京都世田谷区の会社員、宮沢みきおさん=当時(44)=一家4人が自宅で殺害された事件で、宮沢さん宅のスリッパから、犯人のものとみられるDNA型が検出されていたことが28日、捜査関係者への取材で分かった。事件当日、犯人は土足で室内を歩き回ったことが足跡などから確認されており、警視庁成城署捜査本部は、犯人が事件前から宮沢さんと面識があり、宮沢さん宅を訪れた際にスリッパを使った可能性があるとみて調べている。

 捜査関係者によると、捜査本部が、スリッパに付着していた皮膚や汗などの微物を鑑定したところ、現場の床に付着していた犯人の血液のDNA型と一致することが確認された。

 現場には宮沢さんらの血液が付着した犯人の土足の足跡が多数発見されたが、事件当日、スリッパで歩き回った跡は確認されておらず、犯人は事件前に宮沢さん宅を訪れ、スリッパを履いた可能性があるという。

 また、犯人が現場に残したヒップバッグやトレーナーに付着していたインクやペンキの材料となる蛍光染料は、宮沢さん宅の車庫にある木製収納家具にも付着。事件当時、犯人が車庫に立ち入った形跡はなく、宮沢さんが染料を扱っていた事実も確認されていないことから、捜査本部は染料についても、事件前に犯人が宮沢さん宅に出入りした可能性を裏付ける重要な証拠とみている。

 ただ、犯人は宮沢さん宅に侵入して一家を殺害した後、室内に長時間とどまり、冷蔵庫の食品を食べるなど、異常な行動をしたことが確認されており、捜査本部は、犯人が事件当時、ほかにも説明のつきにくい行動をとった可能性もあるとみて、慎重に捜査を続けている。




忘れない:特殊染料 謎の接点  (東京・世田谷一家殺害事件)
◇犯人の遺留品に付着
 「矢澤幹臣(やざわみきおみ)」。世田谷一家殺害事件で亡くなった会社員、宮沢みきおさんが、東京大学在学中、学生グループの劇団で使っていたペンネームだ。語尾の「み」を頭に持ってくれば「みやざわ・みきお」。「ループすれば僕の名前になる」と当時話していた。捜査本部は今月14日、犯人が現場に脱ぎ捨てたトレーナーなどの遺留品から検出した蛍光染料を公開したが、この染料はインキやペンキに含まれる。学生時代から事件直前まで、みきおさんと染料の接点を追った。【石丸整】

 事件5カ月前の00年7月、東京・赤坂のすし屋。約20年前、みきおさんが所属していた学生演劇サークル「蝸牛(エスカルゴ)」の元メンバー男女10人が集まった。

 蝸牛は、女子大の学生をメーンに各大学の男子学生が集まったサークルだった。みきおさんは舞台には立たず、大道具としてセット造りを担当。恐竜の頭部の模型を作り、ペンキを塗ったこともあった。劇団最後のミュージカル「フランケンシュタイン・ロマンス・フォー・レディース」の脚本はみきおさん作。劇中歌「夢の王国の歌」は劇団員たちの結婚披露宴で歌われ続けた。

 旧友たちの前のみきおさんは、全く変わった様子はなく笑顔を見せていた。ニューヨークでの家族旅行の写真をみなに見せたという。

 みきおさんは学生時代、著名な人形作家の下でアルバイトをし、映画撮影の現場にも入り浸っていた。ともに仕事をした造形作家は「ミニチュアの建物を造るなど、腕前はセミプロだった」と語る。

 ◇みきおさん周辺につきまとうペンキや塗料
 みきおさんは、84年に友人と映画や漫画を製作する会社を設立したが、ここでも撮影用のミニチュアを造るのにペンキや塗料を使っている。87年から事件発生時まで、企業のCI(企業カラーなどのシンボル化)などを手がけるコンサルタント会社に勤務した。

 先の造形作家にみきおさんから十数年ぶりの電話があったのは、事件約1カ月前の11月。「年末までに旅客機の模型に色を塗ってほしい」との依頼だった。みきおさんの会社が、大手航空会社に旅客機の機体のデザインを変更する提案をしており、その関係とみられる。造形作家は、模型制作会社を紹介した。

 模型制作会社は旅客機の模型2~3機に赤と青の塗装を施し、事件直前の年末、みきおさんの会社に納入した。みきおさんの周辺には、ペンキや塗料がつきまとう。

 捜査本部が、犯人の遺留トレーナーなどに付着していたとして公開した蛍光染料「ローダミン」は、メーカーが印刷用インキや蛍光顔料に加工して販売しているため、一般には出回っていない。みきおさんは市販のペンキは使っていたが、サークルや人形劇関係者もこの染料を「聞いたことがない」と話す。模型制作会社も扱っていない。

 この染料は、みきおさん宅の車庫からも検出されているが、犯人が事件当日車庫に近づいた形跡はない。このため、事件前にみきおさんが染料とかかわりをもったか、犯人がみきおさん宅を訪れた可能性がある。ただ、捜査本部の捜査でも、染料と犯人はまだ結びついていない。

 ◇世田谷一家殺害事件
 00年12月31日午前、東京都世田谷区の宮沢みきおさん(当時44歳)方でみきおさんと妻泰子さん(同41歳)、長女にいなちゃん(同8歳)、長男礼君(同6歳)が殺害されて見つかった。犯人は男で血液型A型、身長175センチ前後(推定)。血液のDNA型鑑定から、父は日本人を含むアジア系で、母方にはヨーロッパ・地中海周辺の民族がいた可能性が指摘されている。遺留品から複数の砂が検出されており、三浦半島の海岸と米国カリフォルニア州モハーベ砂漠の砂の可能性が高い。