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2011/06/15

名前を使われた長崎大特任教授の宮里達郎氏(69)は「寄稿した事実はない。私が被爆者であることや肩書が勝手に使用されたのではないか」と話し、法的措置を検討

偽寄稿:被ばく「効能」強調、実在教授名を使う--郡山のタウン紙 /福島
 郡山市で12万部を発行するタウン情報紙「ザ・ウィークリー」(5月7日号)が、放射線で「頭もよくなった」などと被ばくの“効能”を強調する記事を、実在の大学教授からの寄稿と偽って掲載したことが分かった。名前を使われた長崎大特任教授の宮里達郎氏(69)は「寄稿した事実はない。私が被爆者であることや肩書が勝手に使用されたのではないか」と話し、法的措置を検討している。



 同号には「特別寄稿 福島への手紙1『長崎から』」との見出しで「長崎では被爆者が『原爆投下直後に、どんな野菜でも魚でも平気で食べた。おかげさまで、身体は元気で頭もよくなった。世間では何を騒いでいるのか!』と話しています」「被爆者は長命であるとのデータもあります」などと書かれ、「九州工業大学学長 宮里達郎」との署名がある。

 宮里氏は、同紙の編集者と面識はなく、「学長」も8年前に退任している。宮里氏の知り合いの別の大学教授が郡山市で講演した際、宮里氏との個人的な会話やメールのやり取りを紹介。その後、大学教授が講演メモを編集者に渡したことから宮里氏の名前が使われたとみられる。

 記事は複数のインターネットのブログで取り上げられ、「非科学的」などと宮里氏を批判する書き込みが相次いだ。毎日新聞の取材に対し、情報紙を発行する「企画室コア」の三田公美子社長は宮里氏に謝罪したことを認め、「メモを基に、自分が書いた。福島の人を元気づけようと思い、深くは考えなかった」と話した。【坂本智尚】

毎日新聞 2011年6月15日 地方版